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次世代科学に対応する自動バイオリアクターソリューション

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Woman working in laboratory  on a bioreactor
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次世代科学に対応する自動バイオリアクター・ソリューション

オランダのデルフト工科大学で、教授と博士課程の学生が進化工学の新しいソリューションを求めていました。石油化学製品の多くを植物由来の材料に置き換えようとする中で、遺伝子組み換え細胞の研究を改善するためには、進化研究に特有の課題に対応できるような堅牢で柔軟性のある自動化バイオリアクターの設備が必要でした。

バイオテクノロジー学科助教のロバート・マンズ博士(Dr. Ir. Robert Mans)は、自身の研究室での科学研究でなぜ自動化を推進する必要があったのかについて、「課題は、細胞とは非常に複雑であること、内部で何が起こっているかを常に完全に把握するのは不可能だということにあります。遺伝子組み換え細胞は意図したとおりに振る舞うこともあれば、病気になったり成長の遅延が生じたりもします。そこで考えたのが、進化の有効利用です。細胞をより健康に速く成長するように進化させるのです。そのためには極めて信頼性の高い無菌装置が必要です」と話します。「1か月におよぶプロセスの間、何も確認する必要のないクローズドオペレーションを実現してくれるような、高度な自動化ソリューションが必要でした」

マンズ博士の指導を受ける博士課程の学生ソフィー・デ・ファルク(Sophie de Valk)は、酵母の遺伝子工学を使った研究について、これまでの手法がいかに複雑で時間がかかっていたかを次のように話します。「以前は、進化を自動化する方法が比較的限られていました。培地交換は手作業で行わなければならず、汚染のリスクや失敗の可能性も常にあったので、正確なプロセスコントロールと、さらにいっそう複雑なシステムスクリプトを設定する能力が必要だと痛感していました」

デルフト工科大学のチームは、自身に必要なことを把握したうえで専門知識を提供し、標準にとどまらないソリューションの設計に時間を費やしてくれるようなパートナーを求めていました。「理論的には何が必要なのかはっきり分かっていましたが、私たちのビジョンを実現してくれる誰かが必要でした。実験の際に求められる柔軟性のあるソリューションを見出し、実装できる相手です」とマンズ博士は話します。

すでにゲティンゲのことをよく知っていましたし、そのシステムが非常に堅牢で信頼できることも分かっています。他とは全然違うと感じたのはその姿勢でした。ニーズに合わせたソリューションを作ることや、パートナーとして組むこと、すでにできあがった選択肢としてではなく目的に適った設備を共同開発することに対して、ゲティンゲはとても前向きでした。

シンプルな設計を追求した複雑なバイオリアクター

Applikonソリューションで12年の経験があるシニアアプリケーションスペシャリストのローイン・ティンメルマンス(Rowin Timmermans)はこの課題に取り組んだ研究チームの一員で、作業の複雑さにすぐ気がつきました。顧客のSCADAソフトウェアには、手作業の回数を大幅に減らすプロセスコントロールのスクリプトが必要でした。「2種類の長時間プロセスを自動化しなくてはなりませんでした。反復バッチプロセスと、ケモスタットまたはアクセレロスタットプロセスです。どちらも手作業が多いのが常です。そこで主な課題は、デルフト工科大学の研究チームが所有するオフガス分析装置のデータとApplikon ez-Controlシステムの全てのプロセスデータを組み合わせ、それからそのオンラインデータを使用して反復バッチプロセスとケモスタット、またはアクセルロスタットプロセスを望ましい方法で自動制御することでした」とティンメルマンスは話します。

ティンメルマンスはスクリプトの担当でした。デルフト工科大学バイオテクノロジー学科チームと緊密に連携し、発酵プロセス中の全ての過程を制御するスクリプトを作成しました。「私の主な役割は、プロセスの自動化に向けてゲティンゲ提供のソフトウェアソリューションLucullus®でスクリプトをプログラムすることでした。共同作業中は何度も大学を訪れて一緒に試験を行いました。建設的なフィードバックを頻繁にもらいながら、共に作業をするのが成功の鍵だと思います。ひとつひとつのニーズをよく理解し、顧客が求める正確なソリューションを見出すには、そうするしかありません」とティンメルマンスは話します。

ティンメルマンスにこの過程で特に困難だった作業はと尋ねると、こう答えました。「最大の課題は、ケモスタット、特にアクセルロスタットの原理がどのように機能するかを把握することと、あるプロセスが次の段階に移るためのスクリプトの中にプログラムした基準の一部が複雑だったことです」

ティンメルマンスと同じようにマンズ博士らの研究チームも、緊密な協力関係の大事さを実感しており、プロセス全体が比較的速く進んだ理由のひとつであると考えました。マンズ博士は共同作業の感想を語ります。「想像よりずっと簡単でした。ほとんどが確認作業で、それでかなり複雑なシステムを構築するのですから、本当に驚きました。試行錯誤しながらも比較的短い時間でシステムに求めていた全てを実現することができました」

カスタマイズの有益性-一般的な使用向けの設計との両立

マンズ博士の指導を受ける博士課程の学生ソフィー・デ・ファルクがこの新しいシステムの注目すべき点や利点を伝えてくれます。

リアクターの中で生じる多くの事象をオンラインで簡単にモニターできるので気に入っています。以前はまずデータをエクスポートし、それをExcelに記入しなければなりませんでした。現在では、順調に進行しているかどうかを確認するためにリアクターを常に見つめていなくてもよくなりました。自宅で作業していてもクリック3回で簡単に確認できます。

デ・ファルクはこの新しい自動進化システムの特徴について、どこからでもすぐにオンラインでモニタリングできることに加え、手軽さや柔軟性についても触れています。「かなり複雑な自動化スクリプトの設定がとても簡単になりました。仲間たちと一緒に何週間もかけて全てを一から構築しなくてもいいのです。それから、これまでは進化中にリアルタイムでパラメーターを微調整したい場合があったのですが、現在ではシグナルをオンラインで追跡し、全ての経過や成長を確認するのがすごく簡単なので、微調整できるようになりました。モニタリングデータを見ながらpHを調整したり、空気を多めにスパージしたり、必要な調整をなんでも行えます」

最終的にデルフト工科大学の研究チームとゲティンゲの関係者は大変満足し、共同でウェビナーを開催しました。プロセスで学んだことを伝え、最先端の自動バイオリアクターシステムで実現できる様々なことを共有したのです。今回は特有のケースに対応したとはいえ、元々一般的な使用を想定したシステムなので、マンズ博士らの研究チームは世界中の学界がその知見を利用できるように研究成果を公表しました。

生活にサイエンスを-傍観者では終わらない

最後に、デルフト工科大学のソフィー・デ・ファルクとロバート・マンズ博士に、ライフサイエンスの研究に携わるためのモチベーションについて尋ねました。

気候変動がモチベーションの一部です。自分が実際に貢献できること、化石燃料ベースの産業に代替案をもたらせること、より植物ベースになれると知るのは、とてもいいことだと思います。また、ライフサイエンスの分野は今も急速に発展しています。今この瞬間にも進んでいる最先端のイノベーションがあるのです。その一翼を担えるのは本当に素晴らしいことです。

マンズ博士も気候変動との闘いに積極的に参加することが大きなモチベーションになっているといいます。「ひとつの社会として、世界にあるひとつの集団として気候変動を抑えるために、私たちは大きな一歩を踏み出さなければなりません。毎日すべきことをしてそれで貢献できている、そう思うとモチベーションが上がります。違う仕事についていたら自分は傍観者であると感じていたでしょう。仕事が解決策の一部になっていると私は知っています。私は傍観者ではありあません。実際に関わり、願わくば変化をもたらすのです」と話します。

最大の課題は、ケモスタット、特にアクセルロスタットの原理がどのように機能するかを把握することと、あるプロセスが次の段階に移るためのスクリプトの中にプログラムした基準の一部が複雑だったことです。

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